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  • 「民間への働き掛けが必要」/新スタジアム建設構想で佐竹知事

    【第15回知事との朝食懇談会】(11月30日、秋田キャッスルホテル)

    県政報告する佐竹敬久知事
    県政報告する佐竹敬久知事

     秋田経済同友会と佐竹敬久知事との第15回朝食懇談会が11月30日、秋田キャッスルホテルで開かれた。2年ぶりの開催となり会員45人が出席、県からは猿田和三産業労働部長が同行した。佐川博之代表幹事が「知事との朝食懇談会は15回を数えるが、今回はコロナ禍での特異な懇談会になった。目下の県民の関心事はコロナ禍が一刻も早く収束することであり、疲弊する県内経済をいかに回復させるかだ。このような状況下、経済同友会は今月19日、コロナ後の秋田県経済について県に政策提言を提出した。提言の内容も含め現時点の状況を佐竹知事からお知らせ願いたい」とあいさつした後、佐竹知事が県政報告を行った。

     主な内容は次の通り。
     まずはコロナの話をする。昨日もコロナの本部会議を開いた。感染者数は全国で下から2番目、人口当たりの感染者は全国一少ない。県内は大都市などへの通過点になっていない、人口密度が低いことなどによるものだろう。実際、県内の感染者の60%が秋田市となっている。
     情報提供はインターネットやSNSを含めいろいろな形で行っているが、高齢県であることもあり、本県の場合一番の情報源は新聞やテレビになっている。新聞に何度も全面広告を出して注意喚起している。また、市町村単位で広報車での呼びかけなども効果があるようだ。
     コロナは医療だけの問題ではない。感染拡大などは統計学など理工系の分野でもあり、これらを踏まえたうえで対策を練らなければならない。例えば、感染者数は単に人口に比例しているのではなく、人口の乗数に比例しているだろうことが見えてくる。そこからも東京の病床数が足りないことが分かる。また、「政府にはサイエンスが分かる専門家会議を置いておけばいい」「日本は基礎科学をおろそかにしている」「科学的観点でいえば、政府の100%安全という言葉はあり得ない」「地域振興にも理系の考え方、人員が必要だ」などいろいろな持論を展開した。
     さらに、コロナ後は食糧、エネルギー問題が重要になる。2050年カーボンオフセットゼロに伴い、この30年で化石燃料をどうするか。また、原発をどうするか。原発は残さざるを得ないだろうが増やすことはできない。となると、再生可能エネルギー、風力発電は有効であり未来がある。秋田県は有望であり、やるからには同友会の提言にもある通り、観光資源になるくらいきれいにやることが必要。ただし、県民の理解を得て長期的にしっかりやらなければならない。能代港、秋田港には風力の関連資材の搬入などで雇用が生まれる。
     一方、カーボンオフセット。自動車からエンジンがなくなり、工業が変わる。この10年で機械産業の構造が変化する。部品製造だけではなく金属加工などすべてが変わる。車はEV化とともに家電製品になる。この流れを県内の産業振興にどう結びつけるかが重要だ。プラスもマイナスもあるが、マイナスをどうプラスにするかという発想が大切。
     秋田は食糧、エネルギーを自給できると、いろいろな大企業が目を付けている。
     秋田に専門家集団をつくり、司令塔が必要。そのために、県立大にスマート農業の研究センターをつくる。また、教養大に情報系の分野を設け、トップを理系の人材にする。これからの時代の変化をどうとらえていくかで、秋田の未来は変わる。経済同友会からの提言もあるが、県政もいろいろな面で動き出すので協力願いたい。

     知事の県政報告に続き会員が質問。質問内容と知事の説明は以下の通り。

    第15回佐竹知事との朝食懇談会
    第15回佐竹知事との朝食懇談会

    Q 提言「“コロナ禍”の秋田経済の回復と新しい産業の創出」について提言内容、大項目は
      Ⅰ 東京一極集中から地方へ~リスク分散で地方再生
      Ⅱ 秋田の強みを活かした産業の創出と支援
      Ⅲ 地方自治体の財政軽減と抑制に向けた官民の連携
    提案骨子のうち、13項目の中から数項目でも知事の所見をうかがいたい。

     いただいた提言の「東京一極集中‥‥」は簡単にはいかない。リモートワークについても記載されており、先月、日経新聞に全面広告を掲載して呼び掛けた。県人会からの反応もあるが、いかに成功例をつくるかが大事だ。通信環境、居住環境の整備に観光面も加えて検討してもいいのではないか。秋田の存在価値を将来的にどうするか。前向きにとらえ情報発信することが大切。国の政策にとらわれれば、どの県も同じになる。少し離れてもいいのではないか。
      秋田の強みを生かした産業の創出は、まさに再生可能エネルギーの分野。あるいは農業、森林をどう使うかもあるのではないか。住宅もさまざまな工法になっている。それをいかに地元に根付かせるかも必要。
      官民連携について、例えばサッカー場。県としてやるとなると、秋田市以外の県民は「うん」と言わない。やはり、中央の企業を含め民間、地元企業とどういうふうに組むのかという仕組みを考える必要がある。人口減少は避けられない。市町村と県、共同していいものをつくるという柔軟な発想が必要だ。

    Q 若者の働く場の確保について
     少子高齢化への対応に特効薬がないことは承知しているが、これまでの施策の効果が表れていないということであり、見直しも含め再検討する必要があるのではないか。

     賃金もあり難しい問題。ただし、今の若者はしっかりした休みを求め、自分がどこまでのポストに行くことができるかも考慮する。事業承継などが進む中、いかに若い人たちにポジションを確保し与えるかだ。若者をバックアップしたい。また、女性の能力を生かすことができる職種も必要になる。少しずつ増やしていきたい。単純にはいかないが、時代の変化に合わせ対応したい。

    Q 10月5日付、日経新聞の全面広告について
     佐竹知事を前面に出した県の新聞広告「リモートワークで秋田暮らし」という選択はインパクトがあった。掲載から2カ月経過し、反響や進捗状況を知りたい。また、2の手、3の手は考えているのか。

    (猿田部長)リモートワークに関するアンケートを送付したところ、63社から可能性ありの回答があった。県東京事務所などと連携して訪問している。県にどういう支援策があるのかを検討している。新聞広告掲載後の動きとしては、12月10日、日経主催のフォーラムで佐竹知事が基調講演する。
     (佐竹知事)成功例を出して、企業に発信したい。リモートワークを斡旋する企業もあり、連携したい。

    Q 新スタジアム建設について
     サッカーJ3ブラウブリッツ秋田がJ3で優勝しJ2昇格を決めた。知事は今年6月の県議会で「候補地として外旭川地区が有力」との見方を示し、地元も秋田市に要望書を提出している。知事としての見解をうかがいたい。

     場所によっては駐車場やバスなど足の確保をしてまとめたい。秋田市はあそこらへん(外旭川)で決定するように動いている。県としては役割分担をやる。場所は市が来年中に決めるだろう。場所のイメージがないと、民間への働きかけができない。場所が先決。決まっても2、3年でできるものではない。最低5年。県立体育館も耐用年数を考えると、既に協議に入っているので10年以内にできる。民間の資金がなくてはできない。

    ※なお、▽中小零細企業対策▽3期12年の県政への取り組みについては、時間の関係上、回答を得ることができませんでした。

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