秋田経済同友会は8月2日、秋田市のANAクラウンプラザホテル秋田で令和4年度第3回会員例会を開き、国土交通省東北地方整備局秋田河川国道事務所の木越養一事務所長が講演した。管内で進めている道路整備の現状と今後の見通しについて説明した。
秋田河川国道事務所が進めている主な道路整備事業は「国道7号遊佐象潟道路(にかほ市)」「国道7号秋田南拡幅(秋田市新屋)」「国道13号河辺拡幅(秋田市河辺)」「国道46号刺巻線形改良(仙北市)」の四つ。このうち、日本海沿岸東北自動車道(日東道)の一部を構成する「遊佐象潟道路」は、本県側の小砂川-象潟間が2025年に開通し、26年に酒田市まで開通する見通しだと述べた。
遊佐象潟道路を含めた日東道の意義について「地域の主要産業の成長を支援している」と説明した。県内の製造品出荷額の3割を占める電子部品産業の6割以上が、由利本荘にかほ地区に集中していることを挙げて、「ここに立地している主力企業が工場の新設・増設を決めたきっかけの一つとして日東道の整備がある。実際、資材の工場間取引や製品の域外出荷にこの道路を活用している」とした。
本県沖で進められている洋上風力発電についても触れ、「風車の大きな部材は船で搬入するが、関連する部品などは陸送になると見込まれる。秋田港と能代港の港湾内の洋上風力で2,600人、一般海域で35,000人の雇用創出が見込まれると県は試算しており、車での通勤も増えるだろう。渋滞解消の観点からも道路の整備が必要になる」と話した。
また、木材需要が高まっていることにも言及した。本県の山林で伐採された木製品を秋田港経由で輸出したり、関東の消費地に運送したりする際、国道46号が利用されている実態を紹介。「46号は冬期間の凍結や降雪の影響で運行速度を抑えなければならない箇所が複数あり、利用者の安全を確保するためにも改良が必要だ」とした。
東北地方の高規格道路については、縦に4本、横に7本の道路網を整備する「4縦貫7横断格子状ネットワーク」を計画していることを説明。日本海と太平洋を連絡する「東西軸」に関して「太平洋側は震災復興を機に整備が進んだが、日本海側が遅れており、ミッシングリンク(途中で途切れている箇所)の解消が必要だ」との認識を示した。
また、会場からの質問に答える形で国の道路行政の進め方を紹介。「自治体や企業に自ら出向いてニーズの把握に努めている。自治体の要望や企業の経営戦略を聞いて、施策に生かしている」などと話した。
木越事務所長は大館市(旧田代町)出身の59歳。国土交通省東北地方整備局道路部地域道路課長、宮城県富谷市企画部長などを歴任し、2021年4月から現職。
この日の会員例会は、道路整備促進委員会が所管。講演に先立って担当理事の斉藤永吉代表幹事があいさつした。会員32人が出席した。
(文責:事務局)