「大雪時の道路交通確保対策について」と題した会員例会が12月13日、秋田キャッスルホテルで開かれ、国土交通省東北地方整備局秋田河川国道事務所の木越養一事務所長が講演した。会員40人が参加、深刻な交通障害を防ぐための取り組みなどを聞いた。
講演に先立ち担当委員会の道路整備促進委員会、担当理事の斉藤永吉代表幹事があいさつ。その後、木越事務所長の講演に移った。講演の主な内容は次の通り。
1.積雪寒冷地域が6割を占めるわが国
雪国に多くの人が住む世界でもまれな日本。旭川や青森など累加降雪深の多い地域に
存在する都市は世界的に珍しい。近年の降雪傾向として、降雪日数は年々減少し、長期
間のしんしん雪から短期集中的な降雪に変化している。
2.大雪による車両滞留の事例
(1)平成30年2月、福井・石川
(2)令和2年12月、関越道(新潟県)
(3)令和3年1月、北陸道(福井県)
(4)平成18年1月5日、国道7号(秋田県)
八郎潟真坂で大雪に伴う交通障害が発生。
琴丘町(現三種町)から潟上市までの延長
13.8km間が約16時間通行止めになった。
3.立往生の発生原因(令和2年度)
冬タイヤを装着していても、縦断勾配5%を超
える区間では立ち往生が多く発生した。令和2年
度の大雪で明らかとなった課題として▽繰り返し
の呼び掛け▽躊躇ない予防的・計画的な通行規制
▽速やかな状況把握と情報共有▽滞留者への情報
提供―などは挙げられる。
4.大雪時の道路交通確保対策 中間とりまとめ(令和3年3月改定)
これまでは自らが管理する道路をできるだけ通行止めにしないこと、道路ネットワー
ク機能への影響を最小化することが目標だった。これを人命最優先に、幹線道路上での
大規模な車両滞留を徹底的に回避することを基本的な考え方として対応することに転換
した。
5.タイムラインの作成(改定)、大雪体制の強化
昨年冬の大規模滞留を踏まえ、躊躇ない通行止め等の実効性を高めるため、タイムラ
インを改定。情報本部の設置を明確にタイムラインに位置付けた。
6.IT技術による除雪作業の高度化、AIによる自動検知システムの導入
運転制御・操作支援の機能を備える高度化された除雪車の開発を推進。カメラ画像を
活用したAIによる交通障害の自動検知の導入を推進。
7.滞留を発生させないための取り組み(NEXCO東日本)
除雪・監視体制の強化。計画的IC閉鎖・予防的(広域)通行止めを実施する。昨冬
の年末年始の大雪では、広域迂回や解除の見通しを広報したうえで、予防的な通行止め
による集中除雪を実施した。
8.秋田県内の予防的通行規制(除雪優先)区間
東北地方整備局では、平成26年度から除雪最優先区間(通行止め予定区間)をあらか
じめ設定し、早い段階から通行止めを行ったうえで集中除雪を実施することで、大規模
な渋滞を抑制する仕組みを構築している。
9.大雪時の需要抑制・広域迂回要請(大雪時の緊急発表)
気象庁や関係機関と連携し、集中的・記録的な大雪が予想されるときに緊急発表によ
り、出控えを呼び掛ける。除雪により高速道路等で通行止めが予想される場合は、通行
止めをあらかじめ公表し、広域迂回を呼び掛ける。高速道路に並行する国道等の通行止
めの予測など、内容を具体化し繰り返し周知する。
10.ホームページからの情報発信
(1)秋田河川国道事務所
(2)秋田県
(3)日本道路交通情報センター
11.道路利用者等への情報提供・注意喚起
降雪時にはドライバーへの情報提供・注意喚起として、降雪など気象情報や通行止
め情報、除雪作業の状況をホームページやSNSなど多様な広報媒体を活用し情報提供
を実施している。 (文責:事務局)