40代以上の現役社員に健康について体系的に学んでもらう当会主催の「ビジネスマン健康達人講座」の3年目が7月30日開講した。会員企業16社から23人(昨年は26社から36人)の受講申し込みがあり、秋田大学附属病院シミュレーション教育センターで行われた初回は15社22人が出席した。また、秋田市保健所と協会けんぽの保健師ほか、地域開発委員会の金澤朗副委員長、船木保美常任幹事、田代苑子会員らも出席した。
開講式では主催者として当会の金澤副委員長が「40代、50代の社員に健康で働いてもらわなければ企業活動は回らない。自分の体や心を見詰め直し、働き方や生き方を見直す機運を職場にも伝えてほしい」とあいさつ。引き続き、県健康づくり推進課の石川修課長と、協会けんぽ秋田支部の中田博支部長が来賓あいさつを行った。
開講式に引き続き第1回講座に移った。はじめに、全体の監修も担った秋田大学大学院医学系研究科の野村恭子教授(公衆衛生学)が「40代からの生活習慣―生涯健康でいられるために」と題して講演。たばこは比較的高価な嗜好品だが、秋田県は年収が低いのに喫煙率が高い。最近の調査では喫煙率と学歴には関連があると言われている。たばこの害についての教育が大切だ。また、県民の食塩摂取量は減少傾向にあるものの、全国と比較するとまだ多い。喫煙や塩分の取り過ぎが、がんや高血圧のリスクを高めると解説した。高血圧の予防には、週5回以上をめどに1日30分程度の運動をし、朝と夜に血圧を測定することも効果的と紹介。さらに、「運動をしないことは、たばこを吸うと同じくらいに悪いこと」と言われる。運動することのメリットを見つけ自分に合った運動を習慣づけよう、などとアドバイスした。
続いて、同研究科の長谷川仁志教授(循環器内科)が、虚血性心疾患について紹介。
急性心筋梗塞の死亡率は日本が低い。人口10万人あたり、日本は男性40.6、女性32.6だが、米国は男性72.7、女性64.6。しかし米国ではこの数字が減少傾向にあるのに、日本は増加傾向にあり、高齢化とともに食生活の欧米化が関連していると思われる。また、動脈硬化の危険因子としては▽加齢(男性45歳以上、女性55歳以上)▽家族歴▽喫煙▽高血圧▽肥満―などが挙げられ、危険因子はそれぞれが日々、血管内を傷害し動脈硬化の基盤をつくり続けている、などと話した。講演後、長谷川教授は急性心筋梗塞の模擬診療を実演。受講者は真剣な表情で見入っていた。
講座は、企業で中心的な役割を担う40~50代の社員の健康づくりを後押しする狙いで2017年に始めた。本年度は12月まで全5回を開催。受講者は大学教授や保健師らの講演を通じて、生活習慣病の予防法や適切な食生活などを学ぶ。
2回目以降の日程は以下の通り(各回ともおおむね1時間半)。
②9月12日(木)16:00
会場:秋田市保健所会議室
秋田大学大学院保健学専攻臨床看護学講座
佐々木久長准教授 「生きがいづくりとメンタルヘルス」
③10月18日(金)15:00
会場:県健康増進交流センター(ユフォーレ)
協会けんぽ保健師による講話「たばこと健康」
ユフォーレ健康運動指導士による指導「運動 始めるコツ 続けるコツ」
④11月15日(金)15:30
会場:秋田市保健所会議室
旭北歯科医院 千葉利昭院長「歯と口のケアからはじめる“健口長寿”」
⑤12月13日(金)11:00
会場:秋田ビューホテル
管理栄養士による「健康長寿は食事から」講話と昼食とりながらのQ&A
※開催日時および内容は変更になる場合があります。