秋田経済同友会は11月29日、第16回佐竹知事との朝食懇談会を秋田キャッスルホテル放光の間で開き、「人口減少に伴う労働力不足への対応」と「再生可能エネルギーを活用した産業振興策」をテーマに意見交換した。昨年は新型コロナ感染症の影響で知事懇談会を中止しており、2年ぶりの開催。県からは佐竹敬久知事と佐藤徹産業労働部長が出席し、会員は47人が出席した。
佐川博之代表幹事が「実り多い懇談会にしたい」とあいさつした後、会議を進行。広報交流委員会の栗谷卓臣副委員長が「人口減少が加速し、建設業や運輸、介護事業などの現場では労働力不足が進んでいる。労働力不足を解消するため、外国からの人材受け入れの拡大や女性・高齢者の活躍の場創出をさらに推進する考えはあるか」と質問した。
これに対して佐竹知事は「本県の人口減少は、主に自然減が進んでいることに起因している。県外に転出する女性が多く、婚姻が少ない。いかに若い女性に職場を用意し、地域の雰囲気を改善するかが課題で、県も重点的に取り組む。外国人労働者の受け入れは苦労している。韓国や台湾の賃金は日本より高くなっており、最近は円安も加わって働く場としての魅力が薄れている」と述べた。
清水隆成広報交流副委員長は「本県沖では風力発電事業が進められ、ゴールドラッシュをほうふつさせるが、地元企業が参入するには規模が大きすぎる。県内産業をどう振興させる考えか」などと尋ねた。佐竹知事は「洋上風力で秋田は全国から注目されている。地元企業の参画で課題になるのは初期投資が大きいことだが、部品製造やメンテナンスなど関連業種は幅広い。再エネ由来の電力を使ってしか製品を作らないような時代が到来することを見据え、県としては秋田市下新城や能代市などに新たな団地をつくり、産業集積を図りたい。企業誘致ばかりではなく、地元企業がグループを作って一緒に動けるように、県も企業と連携したい」と答えた。
佐竹知事からの回答に対して佐川代表幹事、斉藤永吉代表幹事、石塚真人会員が再質問。高校生の雇用促進や、再エネ由来の電力を有効活用する具体策について尋ねるなど、活発な意見交換をした。
最後に佐竹知事は今後の感染症対策や日本のゼロ金利政策の弊害について持論を展開。「大増税時代が到来する」という経済評論家の予測を引用し、増税への備えの大切さを訴えながら県内企業経営者にエールを送った。