秋田経済同友会は9月11日、提言「人口減少化における持続可能な秋田県農業の構築に向けて」を取りまとめ、県に提出した。佐川博之、斉藤永吉、平野久貴の3代表幹事と涌井徹常任幹事が猿田和三副知事に提言書を手渡し、懇談した。
提言書は、農業基本法が本年、「食料安全保障」の理念を掲げて改正されたことを受けて策定。国民の食料を将来にわたって安定供給する環境を秋田で整えることを促している。提言は8項目からなり、「農地の大区画基盤整備を進める」「スマート農業ができる水田を整備する」「米作り農業を再構築する」「輸出先進型農業を目指す」「環境保全型農業を目指す」「廃校を活用して農業振興事業を進める」「農業法人に新たな支援を行う」「農業問題は国民全体の問題という合意を醸成する」-。
今回、提言を取りまとめた「地域と農業を考える委員会」委員長の涌井常任幹事は「農業者の減少は統計でもはっきり出ているが、統計に表れにくい『農業者の生産意欲の減退』が今、著しい。最近のコメ不足や価格の高騰は『インバウンド需要』や『南海トラフ地震注意報をきっかけにした買い占め』だけでは説明がつかない。農業者の激減と生産意欲の減退から、『コメ不足の時代』に突入したのかもしれない」との見解を述べた。
その上で、「離農農家の受け皿として生まれた農業法人が今、後継者不在に陥っている。農業法人の統合や再配分も必要になっており、行政による新たな支援が必要だ」と強調した。
猿田副知事は「いただいたそれぞれの提言は、県が進めている施策とも重なる。農業法人への新たな支援に関しても、県内中小企業の事業展開を応援していることと同様、責任を果たしていく」と述べた。
(2024年9月11日)