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  • 「誰もやっていない」はチャンス/繰り返す努力が奇跡を生む ユーグレナ出雲社長が講演

     秋田経済同友会は1月29日、秋田市のホテルメトロポリタン秋田で新年交歓会と特別講演会を開き、大学発ベンチャーの代表的企業ユーグレナ(東京)の出雲充社長が「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました」と題して講演した。出雲氏はミドリムシ(学名ユーグレナ)の屋外大量培養に世界で初めて成功し、2005年に創業。豊富な栄養を含んでいる特長を生かした食品や化粧品など多彩な商品を世に送り出している。ユーグレナ入りのビスケットはバングラデシュの学校給食用にも提供している。講演では、商品化の過程で突き当たった技術面や販売面の壁を乗り越えてきた体験を披露し、「成功の可能性が低くとも、繰り返し努力することで奇跡を起こすことができる」と述べた。また、夢に向かって努力を続ける若者を応援してほしいと会員にエールを送った。

    講演する出雲充社長
    講演する出雲充社長

     出雲氏は東京大学に入学して間もなくバングラデシュを訪れ、多くの人が栄養不足にあることを目の当たりにした。農学部3年生のときに、光合成をする植物プランクトンでありながら、タンパク質やビタミンといった動物系の栄養を持つユーグレナの存在を知り、これを大量生産してバングラデシュに届けたいという夢を抱いた。

     食物連鎖の底辺にあり、他の生物や細菌から食べられてしまうユーグレナは当時、屋外では培養できないとされていたが、500回もの実験を繰り返して沖縄県石垣島で大量培養に成功、食品や燃料など多彩な用途への応用が期待された。しかし、2年間セールスを続けたものの、「他社で採用された実績がない」ことを理由に断られるなど苦戦。500社に断られた後に初めてユーグレナに理解を示す大手商社が現れ、そこで潮目が変わって成長できた経緯を紹介した。前例がないことを理由に取り扱いをためらった多くの企業に対して、この商社は「誰もやっていない技術だからチャンスだと考えてくれた」と振り返り、新しい技術をチャンスと考える企業が増え、大学の技術を生かした起業が広がることに期待を寄せた。また、国際競争力が低下している日本は「今、変わらなければならない」と強調した。

     日本が平成の30年間で国際競争力を示すいくつもの指標が大きく低下した現状を分析。新しい技術、イノベーションが普及するまでの時間が、劇的に短くなっており、これまでの成功パターンが通じない時代になったことを指摘。世界経済フォーラム(ダボス会議)で講演したアレックス・ペントランド教授(マサチューセッツ工科大学)の言葉を引用する形で、変化に適合して企業が生き残る三つの要件を示した。一つ目は「組織内のコミュニケーション量が多いこと」で、二つ目は「立場に関係なく発言できる心理的安全性を確保していること」、そして最も難しいのが三つ目の「自分たちと異なるバックボーンの人(アウトサイダー)の意見や視点を取り入れること」と指摘した。「同じようなキャリアの社員同士がどれだけ長く話をしても、盲点には気づかない」と述べ、自社の「アウトサイダー登用」に関しては、公募で選んだ女子高校生たちを役員に迎え、彼女たちの提案を経営に反映させている事例を紹介した。

    新年特別講演会の模様
    新年特別講演会の模様

     講演の後、新年交歓会に移行。主催者挨拶で佐川博之代表幹事は「秋田でも若者が新規事業に取り組む事例が出ている。そうした若者の芽をどう育てていくかがわれわれの務めでもある」と述べ、「今年は知事選のほか、14市町で首長選が行われる。リーダーが決まっても、実践するのはわれわれ県民一人ひとり。今年は若いパワーを巻き込みながら、活動を推し進めていこう」と呼びかけた。

     来賓の神部秀行副知事と穂積志秋田市長が挨拶した後、斉藤永吉代表幹事の音頭で乾杯。昨年6月以降に入会した、相場修(リリーほくと商事社長)、伊藤久嗣(中央土建社長)、佐藤正典(野村証券秋田支店長)、鈴木万寿夫(秋田ステーションホテル社長)、田代克美(田代水道工業社長)の5氏が自己紹介した後、懇親。盛会の中、平野久貴代表幹事が中締めをして会を閉じた。新年交歓会には72人が参加した。

    懇親会の模様
    懇親会の模様
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